論文が出版されました!

M2村上さん、OB彌田さんと執筆した下記の論文が出版されました。

Carbon Nanotube-based Printed All-organic Microelectrode Arrays for Neural Stimulation and Recording, Tatsuya Murakami, Naoki Yada, Shotaro Yoshida, Micromachines, 15(5), 650 (2024).[Link]

オープンアクセスなのでどなたでもリンク先から閲覧可能です。

 この研究では、神経科学・医学や創薬の研究開発に用いられる、培養神経細胞の電気刺激・計測のためのマイクロ電極センサアレイ(Microelectrode Arrays: MEAs)の新しい製造方法を開発しました。従来は高価で希少な金・銀・プラチナを微細加工して作られてきましたが、値段が高いため気軽に研究に導入することができませんでした。また、レアメタルや貴金属をベースにした場合、持続可能性や環境負荷に関する問題を無視できません。

 今回、カーボンナノチューブ/パラフィン複合体を有機物導電インクとして「印刷」することで、金属を用いずに安価かつ簡便にマイクロ電極を構築する手法を提案しました。神経細胞の培養を可能にする高い生体適合性を確認し、また電気刺激や計測が可能な優れた電気的特性を持つことを実験によって示しました。

 さらに微細化・高集積化するための微細加工プロセスの開発と、金属より劣ってしまう有機材料の電気特性を補償してセンサ感度を向上させる手法の開発が今後必要ですが、本手法はコスト面でもSDGsへの配慮の観点でも気軽に実験に導入できるMEAとして有用であると考えており、実用化を目指していきます。